私の履歴書(塾講その1)


小学生の頃は漫画家になりたいとか、科学者になりたい、プロレスラーになりたいとかいろいろなりたいものがありましたが、何故か先生になりたいと思った記憶はありません。

ましてや塾の講師なんて、、、、そもそも塾って知りませんでした。

大学のとき、キャンパスを歩いていたら偶然、塾講師募集というアルバイト募集の張り紙をみつけたのが、この世界に入ったきっかけです。

東京の国立にある当時国立学院予備校というところです。

アルバイトと正社員の募集を同時に行うというアバウトな募集でしたが、とりあえず採用試験を受けに行きました。採用試験にはおおよその見当ですが7〜80人が来ていたように思います。

そこでは最初に学力試験がありました。私は英語が得意だったので、英語の講師を希望していました。

しかし、試験官が「では英語を希望する人は手を挙げて下さい」といったとき、教室にいるほとんどの人が挙手するではないですか。

これは競争率高いぞ!と思い人数の少なそうな数学にその場で変更しました。あとで聞いた話ですが、教科試験の点数が数学では一番だったということで(ただし数学の受験者は3人だったそうですが)めでたく採用されることとなりました。

ここで塾講師のアルバイトを始めたことが、やはり今の自分の人生の一番大きなスタートラインだったろうと思います。ともかく今現在数学を教えているのはそのときから数学を教え始めたのがきっかけです。もっとも塾で最初に教えたのは小学生の算数です。

当時はいわゆる「お受験」というのでしょうか。難関中学受験のために小学生が夜遅くまで勉強するというのが「流行り」というのはへんかもしれませんが、しきりにTVでも特集が組まれていたりしてました。

最初は小学生がほとんど毎日夜9時や10時まで塾で勉強する、夕食は弁当を毎日塾で食べるため家族と食事することなどほとんどない、そういう世界の存在自体に疑問を持っていたのも事実です。

けれど、そうまでして頑張っている子供たちに、自分の出来る事は何でもしてあげたいという気持ちの方がはるかに強くなるのにほとんど時間はかかりませんでした。たとえ世間からは異常な世界であったとしても、自分にとってはそこが全て、、という位にのめりこんでいきました。

子供達は素直でしたし、自分を信じてついてきていると実感できましたし、だからその子供達の期待を裏切るなんてことは考えられませんでした。しかし、その世界にのめりこんでいった一番の理由はそこにいる子供たちの魅力でしょう。ただ、ここで魅力というのが適切かどうかはよく分かりません。

普段は明るくてごく普通の子供達なのに、時折こっちがびっくりするくらい大人びたことを話したり、子供のくせに我慢していたり、、、そんな今にも壊れてしまいそうな、そんな存在のはかなさを感じさせる子供達に、だんだんひきつけられていったように思います。

そんな子供達とのことを少し話していこうと思います。

(続きます・・・・・)