ドライアイスをいっぱいいれたバケツの中にとりあえず、一匹のフナを投げ入れました。
ドライアイスはマイナス80度の二酸化炭素の固体です。マイナス80度という温度は実感できませんが、とにかく投げ入れた瞬間に、それまで暴れていたフナが、
一瞬で白くなり、しかもピンとまっすぐになるんです
決して曲がったまま固まったりはしません。もうみごとにみごとにまっすぐになります。
その間わずか数秒です。
固まったフナを取り出してしばらく空気中に放置しておきました。そして、水をいれたバケツにフナを戻し、私たちはドキドキしながら様子を見ていました。子供たち(7人いました)も、みんな不安がまじりながらも、それよりはるかに期待の方が大きい、わくわくした表情でバケツを覗き込んでいました。
白く凍ったフナが水に戻すと、だんだん普通の魚の色に戻っていきました・・・・・・
しかし泳ぎだしません・・・・
何故?????
何度か失敗の後、そのとき一人の子供が言いました。
「分かった!」
「ドライアイスの上にフナを入れたとき、魚の片方(ドライアイスに接触している面)だけ冷やされるので、ドライアイスの上で跳ねたりしているうちに、空気に触れている部分から凍死してるんじゃない?」
確かにドライアイスは固体なので液体窒素のように液体に沈めるのとはややわけが違います。
そこで、今度はドライアイスの中にフナを投げ入れると同時に、上からもバサッとドライアイスをかけることにしました。
私自身はあまり関係ないだろうと思っていましたが、やはり予想どうり、そうやって冷凍したフナも蘇生することはありませんでした。
でも何匹か試してみました。すべて失敗です(T_T)泣き
何故失敗するのかよく分かりませんが、液体窒素でこの実験が成功すると聞いていたような気がするので、とにかく差は、液体と固体の違いのような気がしました。
液体窒素の温度はマイナス196度ですので、勿論温度の差が一番の理由でしょうが、それはどうにもなりません。とにかく
ドライアイスを液化出来れば
何とかなりそうなそんな気がすると子供たちに言いました。すると、一人の子供が、
「ドライアイスを水に溶かしてみたら?」
「水は0度で凍るので、却下」
別の子供がいいました。
「うちのお父さんはウイスキーに氷を入れて飲んでるけど、お酒は凍らないよ。」
「・・・・・・うん、確かにアルコールは0度では凍らないなあ」
そのとき思い浮かんだのは、メチルアルコール・・・しかしメチルアルコールはありません。
「先生コレいれようよお」
いつの間にか子供たちは私の秘蔵のVSOPやなんとナポレオンなどの洋酒を手にしていました。
お歳暮やらなにやらでもらった高級なお酒やブランデーなどを
ドライアイスの中にいいいいいいいいい???????
そんなもったいないいいいいいいい
しかし、子供の勉強しようという気持ちを大人がそぐわけにもいかないし・・・
泣く泣くオールドをドライアイスの中にぶちまけてみましたが、ソッコーアウトです。
瞬間にウイスキーも凍ってしまいます。
「そうかしまったああああああああ」
ウイスキーなんかは、アルコール分30%とかいうから残りの70%は水な訳で、これが凍ってしまうのです。大切にとっておいた酒を犠牲にしなければならないという、失意が大きくてそんなことも考えられていませんでした。
「じゃあ、水とお酒を分離しよう」
と一人の子が、隣の台所にいってなにやらはじめていたようですが、私は固まってしまったウイスキーを見ながら、がっくりしていました。その途端・・・・・
「わああああああああっ」
という子供の叫ぶ声が聞こえあわてて台所にとんでいくと、なんと子供たちは、別のボトルををフライパンにあけて、それを火にかけていたのです。
叫んだのはアルコールが燃え出したからです。1m近い大きさの火柱が上がっていました。
「消火器いいいいいいいい」
「いいから離れろおおおおお」
炎の大きさにはビビリましたが、とにかくアルコールを流しに流したところすぐに火は消えました。
「蒸留しようと思った」
「あのなあ、お酒匂いしたろ?匂うってことは普通の温度でアルコールが気化してるってことだから、火なんかにかけたら水より先にアルコールの方がとんじゃうだろう」
具体的な温度は分かりませんが、とにかく気化したアルコールに引火してしまったようです。誰にも怪我はありませんでしたが、とにかくこれで2本目のウイスキーもアウトです。別に子供をしかったりはしませんでしたが、とにかく火は気をつけるように注意しました。
後日談ですが、そのときの話を子供が家に帰って親に話をしたのでしょう。後で何人もの父兄が私のアパートにお酒を差し入れてくれました。ラッキーだったかも(笑)
ドライアイスの液化をほとんど断念しかけていました。
しかしある子供がいった一言が、が、
超〜画期的でした。
完全ではないものの
とにかくほぼドライアイスを液化させる液体、つまり ドライアイスを入れてもほとんど凍ることなく、しかも温度も上がらない、 そんな液体を身近にみつけることができたのです(マイナス80度の液体の実現です)。
(続きます・・・)