ドライアイスの液化というのは勿論正しくありませんね。ドライアイスは二酸化炭素が固体となったものですが、固体から、液体をとおさず気体に変化してしまうので、正確にはドライアイスを利用して、いかに温度の低い液体をつくることが出来るかってことになります。とりあえずここではそれをドライアイスの液化と呼んでいますが、とにかくそのドライアイスの液化をほぼ断念しかけてときに、一人の子供が、
「うちのお父さんは、ウイスキー飲むとき炭酸水を入れてるけど、氷いれても固まらないよ」
「・・・・・・・・炭酸水?」
「そうか炭酸水も凝固点は低そうだねえ。しかもドライアイスと同じ炭素の仲間なんならなんとかなるかもなあ」
そこですぐに酒屋に行って、炭酸水を購入して試してみました。完全に液体とはいえません。ちょうどシャーベットのような感じですが、けれどそれまでのように氷という訳ではありません。とりあえずこれならなんとかなりそうです。完全に液体ではないので、シャーベット状のドライアイスの上にフナを落とし、同時に上から流し込むということにしました。
炭酸水は水に炭酸を溶かしたものなので、炭酸水にも水は含まれているはずですが、炭酸が水に溶けたとき、炭酸イオンと水素イオンに分解します。これが電解質であるため凝固点降下がおきるようです。この凝固点は含まれる電解質の状況や容器の質などにも影響をうけるようで、必ず凝固点はマイナス何度であるとはいえないようですが、かなり低くまで下がるようです。今ならポカリスエットなんかもかなり低温になるようです。
実は後でしらべて分かったことですが、やはりアルコールを使用するというのがもっとも適切であったようです。勿論ウイスキーはだめですが、工業用アルコールのエタノール、これが薬局などでも比較的安価に購入できるようですが、これだと完全な液体状態のまま温度を下げることができるようです。
手順はエタノールにドライアイスを小さくしたものを少しずついれて攪拌していくだけです。それでなんとエタノールはマイナス95度位まで温度が下がるようです。
ドライアイスの温度がマイナス80度なのにマイナス95度まで下がるというのはなんか不思議な感じがしますが、とにかくこうして作った液体に軟式テニスボールなどを入れて凍らせたものを落下させると、ガラス細工のように壊れてしまうそうです。機会があれば是非挑戦したいですね。
話はずれましたが、とにかく炭酸水というのは、そのときの私たちにとってはベストな選択のように思えました・・・・・・・
しかし・・・・・・
やはりフナは蘇生しません・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わいわい、わいわい(議論しているところです)」
とそのとき一人の子供が
「先生、絶〜対〜分かった!」
「温度が元に戻る時間が長すぎてるんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あああっ!そうか、何で気がつかなかったんだああああああ」
そうです、それまでいかにすばやく冷凍するかということばかり考えていました。実際フナが 凍るのにかかる時間はわずか2〜3秒です。けれどそれを水に戻したときは、フナがもとの色に戻るまで、少なくとも2〜3分はかかっています。どう考えてもこの時間は長すぎるし、たとえ蘇生しても水温がマイナス何度という状態が2〜3分続いていれば、それはその間に死んだとしてもなんの不思議もありません。
そうなると、とにかく、通常の水温に戻す時間を短くしなければなりません。できれば冷凍したときと同じように2〜3秒で戻すのが理想的です。
「じゃあ、それにはどうしたらいいと思う?」
「そんなん簡単だよ」
「おおっ?どうしよう?」
「熱湯に戻せばいいじゃん」
おいおいそれじゃ、生きてるものも死ぬでえ!
まあ熱湯はどうかと思うので、少しぬるま湯、あとやや熱めのお湯に入れてすぐにまた水に戻すとか、いくつかのパターンを考えてやってみることにしました。
今度こそおおおおおおお!!
(続きます・・・・)